弐〇〇〇年八月十二日 於京都市中京区ライブスポットラグ


deban  「栗須田先生、出番で〜す」「あいよぅっ!」
出番が迫り楽屋に緊張感が走る。マネージャーが栗須田先生のハンケチで額に浮かんだ汗をぬぐう。 これまで星の数ほどの営業を積み重ねてきた、あの百戦錬磨の栗須田先生の顔にも緊張の色が見え隠れする。 手にはうちわ、腰には脇差一本。そしてそのいでたちは今回のリサイタルのために新調したという目にもまぶしい橙色の浴衣。



演奏曲目



motemote :「日本の夏祭りには何か足りないものがある。岡崎君、君にとって『祭り』とは何かね?」 後輩の岡崎君に身をもって『祭り』の何たるかを教える栗須田先生
:「日本の祭りと言えば『盆踊り』だろう。『盆踊り』ということは『音頭』だろう。」
:「ナウなヤングはそんなことしませんよ。」
何もわかっていない岡崎君。そんな岡崎君、そして日本全国のナウなヤングのために送る栗須田銀河の新曲、 それは「ロック」と「音頭」の融合、『ロックン音頭』
motemote motemote BED BREAKERS売出し中の新ユニット「CHOO-CHOO GIRLS」に、大いに売れるようにと、 『大売出し』のはっぴをプレゼントする粋な栗須田先生。これで彼女たちは売れること間違い無し。 彼女たちは一生このときのことを忘れることは無いであろう。
motemote 「夏だ! 祭りだ! 栗須田だ!」の掛け声で栗須田音頭のはじまりはじまり。観客の興奮も一気に頂点へ。 ♪栗須田音頭でヨイヨイヨイ、ロックン音頭でイェイイェイイェイ
♪今だ、とどめの栗尽くし、貴方の人生、栗色に
名調子の連続に、失神する観客もちらほら見うけられた。
motemote motemote そして、中間部の語りでは栗須田銀河お得意の歌謡ショウ(第一部)風のお芝居も披露。
「あの夏祭りの夜、故郷を離れて早や幾年月。 己が剣の道を極めるがため、流れ流れてここまでやって来た。 血祭りにあげた男の数は知れず、拙者の名は栗須田流免許皆伝、七代目栗須田銀河。 そこの怪しい奴、名は何と言う。フフ、名乗る気などあるまいな。今宵の我が必殺剣、血に飢えておるぞ。 さぁ、おぬしにこの切っ先をかわすことが出来るかな?いざ、いざ、いざ〜!」
大見得を切る栗須田先生。感極まって勘違いしたお客さんからは「よっ、成駒屋っ」「音羽屋っ」の声も飛び交った。
motemote 「ギギンガ・ギン ギギンガ・ギン 栗須田銀河の栗っ栗」 場内はまさに盆踊り会場に。まるで過ぎて行く夏を惜しむかのように。 勢い余った栗須田先生。演奏が終わった後も歌いつづけるアクシデント。 しかしそこは百戦錬磨の栗須田銀河。
「これがホントの、『あとの祭り』だぁ」
粋なサゲで締め。お後がよろしいようで。



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